営業派遣とは?人材派遣との違いやメリット・デメリットを解説
2024.05.20
営業派遣とは、人材派遣の一形態で、企業の営業部門に特化した派遣サービスを指します。人材派遣が一般的な職種全般を対象としているのに対し、営業派遣は営業職に限定されるため、専門性の高い人材を迅速に確保できるのが特徴です。このサービスには、コスト削減や即戦力の確保といった多くのメリットがある一方、派遣社員の定着率や育成の難しさといったデメリットも存在するため、注意が必要です。この記事では、そんな営業派遣とは何かについて詳しく解説します。
INDEX
営業派遣とは
営業派遣とは、企業が業務効率化や特定の課題解決のために、外部の派遣会社から専門的なスキルや知識を持つ営業職を一時的に借り受ける労働形態を指します。これにより、企業は即戦力となる人材を迅速に確保し、プロジェクトや需要に応じた効果的な人材活用が可能です。
営業派遣の利点として、採用の手間やコストを削減できる点が挙げられます。例えば、長期的な人材雇用が難しいプロジェクトでは、必要な期間だけ派遣社員を利用することで、効率的な人材運用が実現可能です。
一方で、派遣社員のキャリアアップについても検討が必要です。派遣社員が新しい業務スキルを習得し、将来的なキャリアアップを目指すためのサポートが求められます。企業としても、長期的な視点で派遣社員の成長を支援することで、結果として業務全体のパフォーマンス向上に繋がるでしょう。
このように、営業派遣は人材の柔軟な活用と業務効率化を実現する一方、キャリアアップ支援が重要な要素と言えるのではないでしょうか。
派遣で働く営業職が急増中
近年、派遣社員として働く営業職が急速に増加中です。その背景には、企業のニーズに柔軟に対応でき、迅速に必要な人材を確保できることが挙げられます。
派遣会社にもよりますが、最近では男性女性を問わず業務に最適と考えられる人材を紹介する方針がトレンドとなっており、企業は適材適所を実現しやすくなっています。
営業派遣を利用することで企業は採用コストの削減や特定期間のみのプロジェクトに対応しやすくなる一方、派遣社員はさまざまな現場で働くことでスキルアップの実現が可能です。
しかし、派遣社員の採用には一部リスクも存在するため、その利点と欠点を正確に把握することが重要です。そうすることで企業の人事担当者や営業部署の管理職は、営業派遣の導入による効果やリスクを理解し、より戦略的な人材活用が可能となります。
営業派遣のメリット
ここからは、営業派遣のメリットについて詳しく解説します。
営業力の高い即戦力となる人材を確保できる
営業派遣の最大のメリットの一つは、即戦力となる営業力の高い人材を確保できる点です。派遣会社は、豊富な営業経験と高いスキルを持つ人材を事前に確保し、企業のニーズに合った適切な人材を迅速に紹介します。これにより、新たに採用してトレーニングを行う手間やコストを大幅に削減できます。さらに、派遣会社は最新の市場動向を常に把握している上に、営業のコツを掴んだ即戦力人材を提供出来ることが大きな強みです。
短期間で大量の営業人材を集めることができる
急な需要増加やプロジェクトの開始時など、短期間で大量の営業人材を必要とする場合、営業派遣は非常に有効です。通常の採用プロセスでは短期間で大量の人材を確保することは困難ですが、派遣会社を利用することで迅速に対応できます。新製品の発表やキャンペーンなど、一時的に多くの営業スタッフを必要とするシーンでも、営業派遣を活用することで効率的に対応できるでしょう。
コストを削減できる
営業派遣を利用することで、採用や教育のコストを大幅に削減できます。通常の採用プロセスでは求人広告費や面接費用、トレーニング費用が必要ですが、派遣利用ではこれらのコストが発生しません。また、派遣社員は必要な期間だけ雇用できるため、長期的な賃金や福利厚生費用も抑制可能です。企業は必要な時に必要なリソースを活用でき、柔軟なコスト管理が可能となるため、企業の利益率も向上するでしょう。
営業派遣のデメリット
ここからは、営業派遣のデメリットについて詳しく解説します。
営業戦略やマネジメント機能の構築は期待できない
営業派遣は一時的な人材補充や特定プロジェクトにおける人材確保に有効ですが、中長期的な視点から見ると営業戦略やマネジメント機能の構築には限界があります。派遣社員は外部から提供される人材であり、企業の経営目標や長期ビジョンに対する深い理解を持つことは珍しいです。
場合によっては未経験の人材がアテンドされる可能性もあり、的確な戦略方針にそぐわない可能性もあるかもしれません。そのため、営業戦略の立案や組織全体の営業活動を俯瞰して管理する役割は期待できません。また、内部の人材育成を通じたノウハウの蓄積にもつながりにくい点も課題と言えるでしょう。
自社に営業ノウハウが残らない
営業派遣の大きなデメリットは、自社に営業ノウハウが蓄積されない点です。契約期間が終了すれば、派遣社員は退社し、彼らが持っていた知識や経験も失われます。長期間社員が在籍していれば獲得できる効果的な営業手法やトラブルシューティングの知識も、派遣では社内に残らないリスクがあります。そのため、派遣社員の活用を検討する際にはこうした欠点を考慮し、ノウハウの引き継ぎ方法も併せて検討することが重要です。
営業派遣 時給のトレンド
営業派遣の市場において、時給は時期や経済状況によって大きく変動しますが、その変動には一定のトレンドが存在します。
企業の人事担当者や営業部署の管理職が注目すべきポイントとして、まず需要と供給のバランスが挙げられます。例えば、景気が好転する時期には企業の販売活動が活発化し、これに伴い営業派遣の時給が上昇する傾向がありますが、景気が停滞している時期は需要が減少し、時給も低下する可能性が下降する傾向にあるのが特徴です。
さらに、人材の専門スキルや経験も時給に大きく影響を与えるでしょう。どのような市場状況でも、専門性の高い営業スキルを持つ派遣社員は高い時給が設定されるのが一般的です。
派遣側の目線で見ると、おおよその時給相場として、BtoB領域の営業派遣やテレアポ人材で時給1,800円〜2,000円程度、ラウンダーで時給1,500円程度、BtoC営業で時給2,100~2,500円の案件が多く見受けられます。また、別途インセンティブ支給がある場合はさらに上積みも期待できるかもしれません。
単純に月間で1日8時間×20営業日稼働するとして、240,000円〜400,000円ほどの収入が見込めるため、日本人の一般的な月収は比較的稼ぎやすいです。
ただし、状況によって時給は変わるため、どれくらいが相場というよりは本人の適正に合わせて判断するのが良いでしょう。
営業職のキャリア相談
営業職のキャリアは多岐にわたりますが、適切な指導やサポートを受けることで、さらなる高みを目指すことが可能です。特に営業職のキャリア相談は、人事担当者や営業部署の管理職にとっても重要なプロセスとなります。
相談内容には、営業派遣の利点と欠点、採用方法、費用対効果、そして社員のキャリアアッププランが含まれます。このような詳細な情報を提供することで、社員のキャリア成長を促進し、企業全体の業績向上に寄与するはずです。
ただし、キャリアに関して悩む方がどのような悩みを抱えているかは状況によって変わるため、本人がどのようなキャリア形成を考えているか親身に考えなくてはなりません。
営業職派遣でキャリアアップ ~正社員への新たな近道~
現在、多くの企業が営業部門の強化を図る中で、営業派遣という選択肢が増えています。人材を新たに採用するという道もありますが、営業力は資格のように眼に見えるものでは判断できないため、リスクも伴います。
一方、営業派遣は一時的なリソース確保にとどまらず、採用や費用対効果の観点からも優れており、営業派遣を利用することでキャリアアップのチャンスが広がるだけでなく、正社員になるための新たな道も見えてくるはずです。
営業派遣として経験を積めば、営業職として正社員採用される可能性もあるため、努力を惜しまないことが重要です。
派遣で営業管理職になる
営業派遣でキャリアを積むと、適切なスキルと経験を得て管理職への道が開かれます。そうなると年収UPも見込めるでしょう。仮に営業派遣として働けば、さまざまな業界や企業で実践的な経験を積むことが可能です。
これにより、多岐にわたる知識と専門技術を身につけることが可能となるでしょう。また、営業派遣はコスト面でも魅力的で、企業から見ても短期間で優秀な人材を活用できるのは大きな利点と言えるでしょう。
ただし、派遣から直雇用への転換には企業のニーズと個人の努力が重要です。積極的にスキルアップを図り、自身の価値を高め続けることが営業管理職になるための鍵となります。
状況によっては企業が正社員を雇う余裕がない場合もあるため、臨機応変に対応することが求められるでしょう。
まとめ
営業派遣は企業の人事担当者や営業部署の管理職にとって有益な選択肢です。その最大の利点は、短期間で即戦力を確保できる点にあります。特に、特定の業務やプロジェクトに必要なスキルを持つ人材を迅速に採用できるため、柔軟なリソース管理が可能となるでしょう。
また、営業派遣は固定費の削減や採用コストの抑制にも寄与し、予算管理の効率化に繋がります。一方、派遣社員は企業に対する忠誠心や長期的なコミットメントが低いなど、欠点も少なくないです。
さらに、派遣社員の教育やトレーニングにかかる時間やコストが増加する可能性もあるなど、企業と派遣社員両方にとって注意すべき点は多いと言えるでしょう。
一方で、適切な管理と選定さえできれば、営業派遣は双方にとって魅力的な選択肢となります。営業派遣はその特有の利点と欠点を理解し、目的に応じた戦略的な活用が鍵です。まずは雇用する側、雇用される側、双方が営業派遣とは何かを知り、有効活用する手段を考えてみてはいかがでしょうか。