ポジショニングマップの作り方と軸の決め方とは？テンプレの活用法も解説
2024.05.20
ポジショニングマップは、マーケティング戦略を考える上で欠かせないツールです。このマップを活用すると、自社製品の市場での位置づけを視覚的に理解し、競合他社との差別化を明確にできます。特に、新規事業の立ち上げやマーケティング担当者にとっては、戦略の策定や改善に非常に有効です。この記事では、そんなポジショニングマップの具体的な作成方法や重要な軸の決め方、便利なテンプレートの活用法について詳しく解説します。
INDEX
ポジショニングマップとは？
ポジショニングマップとは、企業や製品の市場での競争状況や自社の立ち位置を視覚化するためのツールです。このマップを使用すると、競合他社との相対的な位置関係が一目でわかり、効果的なマーケティング戦略の策定が容易になります。
ポジショニングマップは縦軸と横軸で構成され、各軸には特定の基準が設定されます。これにより、製品やサービスの強みや弱みを理解し、競争優位性を明確にすることが可能です。
マーケティング担当者や新規事業を検討するビジネスパーソンにとって、これらポジショニングマップの基本的な理解は欠かせません。
ポジショニングマップを作る目的
ポジショニングマップは、市場における自社の位置を視覚化し、競合他社との違いや優位性を一目で理解するための有効なツールです。このマップを活用することで、自社の強みや弱みを明確にし、戦略的な意思決定に役立てられます。
中でも、マーケティング戦略や新規事業計画を推進する上で、ポジショニングマップは欠かせません。具体的には、ターゲット市場の分析や競合状況の把握、リソース配分の最適化など、多岐にわたる効果をもたらしてくれるでしょう。これにより、市場での競争力がアップし、成功への道を切り開く手助けとなるのではないでしょうか。
ポジショニングマップの作成方法
ポジショニングマップの作り方は、マーケティング担当者や新規事業を検討しているビジネスパーソンにとって重要です。ここからは、ポジショニングマップの作成方法について詳しく解説します。
1. KBF比較表を作る
ポジショニングマップを作成する前に、まずKBF（Key Buying Factors、主要購買要因）の比較表を作成することが重要です。KBFは、顧客が商品やサービスを選ぶ際に重視する要素をリストアップし、それぞれの競合がどの程度満たしているかを評価するための表となっています。
比較表の対象となるのは価格・品質・デザイン・サービスなどです。この比較表により、競合他社との違いを明確にするため、自社と競合の各要因に対するスコアを付け、どの要因が競争優位性を持つかを視覚的に示すことが重要となります。
これにより、自社の強みや弱点を把握できるだけでなく、商品やサービスのアピールにも応用できるでしょう。
2. ポジショニングマップに落とし込む
KBF比較表が完成したら、ポジショニングマップに落とし込みます。設定する項目としては、横軸に価格、縦軸に品質を設定するのが一般的です。
ポジショニングマップに情報を落とし込む際のポイントは以下の通り。
– 顧客にとって最も重要な要因を選んで適切な軸を設定する
– 競合および自社の位置を正確にプロットする
– 市場の隙間を見つけるため、可能な限り多くの競合をプロットする
以上のポイントを踏むことで自社の差別化ポイントが明確になり、戦略的な意思決定の基盤が作られるでしょう。
3. リポジショニングを検討する
リポジショニングの検討は、ポジショニングマップ作成の次に重要なステップです。リポジショニングとは、顧客の考えにずれが生じた際、新たに自社ブランドを生成して自社を再活性化することを指します。
そのためには、市場環境の変化や競合の動きに柔軟に対応しなければなりません。具体的には、顧客のニーズや嗜好の変化、新たな市場機会の発見、競合他社の動向の把握、自社製品やサービスの改良を考慮します。このプロセスは、既存のブランドイメージやマーケットポジションを見直す作業であり、慎重かつ戦略的な計画と実行が重要です。
ただし、リポジショニングが適切に実行できれば、競争力の強化や新たな市場機会の創出に繋がるでしょう。
ポジショニングマップを作る際の注意点
ポジショニングマップの効果を最大限に引き出すには、いくつかの注意点を押さえておくことが重要です。ここからは、ポジショニングを作る際の注意点について詳しく解説します。
顧客のKBFでないポジショニング軸を使わない
KBF（購買要因）は、顧客が商品やサービスを選ぶ際に重視するポイントです。ポジショニングマップを作成する際には、必ずこのKBFに基づいた軸を選ぶことが重要となります。価格、品質、デザインなどが顧客のKBFであるならば、これをポジショニング軸に設定することで、顧客の真のニーズと一致した戦略を立てられます。そうすることで、競合他社との差別化を図り、マーケットでの優位性を確立することが可能です。
ターゲットにあわないポジショニング軸を使わない
ターゲット顧客層に合ったポジショニング軸を選ばなければ、ポジショニングマップから得られるインサイトは誤解を招くことになります。例えば、高価格帯の商品をターゲットにする場合、コストパフォーマンスをポジショニング軸として選ぶのは適切ではありません。このようなケースでは、品質やブランド力など、ターゲット層に訴求する要素を選ぶことが重要です。ビジネスの成功には、適切なポジショニング軸を選定、そしてマーケティング戦略の精度を高めることが欠かせません。
相関関係の高い軸をポジショニングマップの軸として選ばないこと
ポジショニングマップを作る際は、相関関係の高い軸を選ばないことが重要です。例えば、価格とコストパフォーマンスは相関関係が高く、同時に使うと配置が偏りやすくなります。そのため、特性の異なる軸を選び、多角的な視点から競合環境を分析することが重要となるでしょう。
ポジショニングマップの軸の決め方
効果的なポジショニングマップを作成するためには、適切な軸を選定することが不可欠です。軸を選ぶ際には、自社の強みや競合優位性、顧客が重視するポイントを考慮することが重要かかせません。逆に最適な軸を選ぶことができれば、効果的に市場でのポジショニングを視覚化できます。
そのため、ポジショニングマップの軸を決める際は、何が適切な軸となるのかを慎重に判断することが求められるでしょう。
よく使われる軸の要素例
ポジショニングマップ作成時の軸選定は、戦略的意思決定に欠かせないステップです。
特に「価格・品質・革新性・ターゲット市場・ブランド認知度」など、自社の特性に合った軸を設定することで、強みや市場での位置づけをより明確に理解できます。
市場調査データや顧客フィードバック、競合分析を元に軸を選定し、経営戦略と一致させることで、より効果的なマーケティング戦略も可能です。正確な軸設定がビジネスの成功を左右するため、ポジショニングマップの軸は慎重に決めることが求められます。
ポジショニングマップの使い方
ポジショニングマップを活用する際は、まず軸を設定し、自社と競合の特徴を整理してマップに落とし込むことが基本です。次に、消費者ニーズや市場トレンドを分析し、ポジショニングを再評価します。
最終的にはポジショニングマップを活用しながら顧客獲得の戦略を立て、トライ＆エラーを繰り返します。市場の動向は常に変化するため、ポジショニングマップも状況に応じて変化させていくことが重要です。
なお、具体的な戦略策定に役立てるためには、データの定期的な更新と市場動向の継続的なモニタリングが不可欠です。ポジショニングマップの効果的な活用は、競争力のあるポジションを確立し、持続的な成長を目指すための鍵となります。
そのため、時代に合わせてポジショニングマップを適宜活用しましょう。
ポジショニングマップの活用事例
ここからは、ポジショニングマップの活用事例を見ていきましょう。ここではワイヤレスイヤホンと女性向けモバイルPCのポジショニングマップを取り上げ、その作成方法や活用法について詳しく説明するので、ぜひ参考にしてみてください。
ワイヤレスイヤホンの事例
ワイヤレスイヤホン市場は急速に成長しており、多くの企業が参入しています。この市場で成功するためには、他社製品との差別化が不可欠です。
その差別化に役立つのが、ポジショニングマップです。
ポジショニングマップをワイヤレスイヤホンに活用する際は、まず縦軸に製品の音質を、横軸に価格を配置します。高音質・高価格の製品にはソニーのWF-1000XM4、低価格・低音質の製品にはXiaomiのRedmi AirDotsを配置するなど、具体的なメーカーの製品を並べるとわかりやすいです。
これにより、自社製品の相対的な位置を明確にし、新製品の市場投入における戦略策定が可能です。比較対象とする製品は他のメーカーのものでも構いませんが、競合の商品・サービスを配置するのがコツと言えます。
女性向けモバイルPCの事例
ポジショニングマップの活用は、女性向けモバイルPCの事例でも役立ちます。
例えば、縦軸に重さ、横軸にデザインの魅力を設定すると、AppleのMacBook Airは軽量・高デザイン性、AcerのAspire1は重め・シンプルデザインの位置に配置可能です。
このマップを参考にすれば、特定のユーザー層のニーズを的確に把握でき、新製品の企画に役立ちます。ワイヤレスイヤホンの事例同様、的確なポジショニングマップの作成が市場での成功に繋がるはずです。
ポジショニングマップのテンプレートを利用するメリット
ポジショニングマップのテンプレートを利用することで、短時間で効果的なマップを作成できます。テンプレートを活用することで、標準化されたフォーマットが提供され、分析の一貫性を保つことが可能です。
他にも、テンプレートを活用することでビジネス会議やプレゼンテーションの際にスムーズなコミュニケーションを支援し、意思決定を迅速に行うための基盤にもなるでしょう。まさにポジショニングマップはビジネスの加速に欠かせないツールと言っても過言ではありません。
まとめ
ポジショニングマップとは、市場内での自社や競合の位置を視覚的に表現するツールで、マーケティング担当者や新規事業を検討しているビジネスパーソンにとって非常に重要なツールです。
ポジショニングマップの軸をしっかりと定めることで、自社の立ち位置や市場調査に役立つだけでなく、今後の経営戦略の指針ともなり得ます。
もし「なぜ想定通りに成果が出ないのか？」と疑問に思っているなら、ぜひポジショニングマップを活用してみては如何でしょうか。
